見つけた瞬間に手に取ってしまった本のご紹介。
中銀カプセルタワービル 最後の記録
中銀カプセルタワービルは実際に銀座にある建造物でしたが、老朽化及びアスベスト等の理由から解体されたようです。
コロナ禍前、年数回東京に行っていたときに宿泊した銀座のホテルの窓から見たことがあるんですが、
「東京ってすごいなあ。」
というなんとも馬鹿みたいな印象を持った記憶があります(笑)
レトロなビルは元々好きでしたけど、今思えばさらに興味を持つきっかけになった建物でした。
この建物の特徴は、一つ一つの部屋がカプセルのようになっていて、交換ができるようです。建物のメタボリズム、新陳代謝ができるとか画期的すぎますよね。ただ、後にも先にもこの特徴を持つ建物は存在せず、そもそもこの建物自体も組み替え等は発生してないそう。このあたりは立地条件とかもありそうですが、現実的には厳しかったのかもしれません。まあ唯一無二だからこそ芸術なのかもしれません。
で、この本ですが、各部屋(カプセル)の様子が撮影されているんですね。
生活されている部屋、綺麗に飾られた部屋、使われず朽ち果てた部屋。本当に様々。
この建物は未来を想像した芸術でもありますが、生活も営まれており、それでいて廃墟のような様なんです。
すごい混沌。これがすべて当てはまる建物が全世界にあと何個あるのだろうか?とワクワクしました。
しかしながら、芸術と現実の折り合いの難しさがあるのだなあとしみじみと。
アスベストを使っていなければ、はたまた立地が銀座のど真ん中でなければ、もしくは金銭的な問題(カプセルの量産化とか)今の姿でリノベーションを続けることができたのかもしれませんし、でも今の条件が揃っているからこうやって注目されていたのかもしれません。
これぞシュレディンガー。違うかも。
レトロなビルは、一つ一つが個性的で建築家の思いが真正面から感じられるのでたまにボケッと眺めるのが好きですね。なにより、ここから生活とか、歴史を想像するのが楽しい。
最近それを感じたのは栄町ビル・名古屋国際ホテルですかね。すでに廃墟然としてますがここも昔は結婚式とかディナーショーとかやってたんだよな・・・と。
栄の街も移り変わってますね。
久しぶりに東京に行きたい気持ちになる一冊でした。