みなせのメモ帳

思ったこと、考えたこと、買ったもの、感想とか書いていきます。

その意地が間違いでも、一か八かでも。

 

RE:Cycle of the PENGINDRUM 後篇 僕は君を愛してる

 

公開日に見てきました。

 

※若干のネタバレを含みますのでご注意ください※

 

前篇は、「帽子の力」が切れて陽毬が再び亡くなり、眞悧の登場まで。

後篇は、そこから高倉家や苹果を取り巻く人々の秘密がさらに暴かれていきます。

 

総集編的要素が強い内容なんですけど、新たに追加された桃果と冠葉・晶馬、プリンチュペンギンのシーンがこうやって繋がっていくのか・・・・だから「何者かになれるお前たち」だし、そして新規シーンが本編の結末に繋がっていく。「何者にもなれないお前たち」だった2人は自分達で作り上げた絆(愛)で、「お兄ちゃん」になれることができたんだな、と。テレビシリーズにあとの妄想だったものが映像化されたようで嬉しい気持ちでした。

そして挿入歌としても「少年よ我に帰れ」はもう・・・あぁそういうこと!?みたいな感覚でした。そこまで伏線だったの・・・・?みたいなハマりかたで思わず声が出そうになりました。

そして、苹果ちゃんと晶馬の気持ちが明確に通ったシーンが追加されているところは本当に・・・・結局2人は結ばれることはなかったけど、この短い期間でお互いの事を知り、愛を伝え合えるっていうのは、もう尊いと言わざるを得ないですよね。

苹果ちゃんは割とことあるごとに晶馬に思いを伝えてるんですけど、晶馬が言うのは本当に最後の最後だけなんですよね。あの一瞬だけでも、2人は思い合えたのだ・・・・でも2人で幸せになって欲しかった気持ちは否めない・・・・!!!!

苹果ちゃんの凄さって、素直さにあると思うんですよね。常に自分の気持ちを偽らず、そして猪突猛進。だからこそ感情的だしエキセントリックな面もあるし。何より真っ直ぐに相手をみて気持ちを伝えられる。色んな意味で普通で、純粋な子。だからこその危うさはたくさんありましたが、何時だって明るいし、自己犠牲的ではない。そういう意味では、陽毬と対称的に描かれた子だったのかもしれないですね。

個人的に、晶馬に「もう関わらないでくれ」って言われた時の泣き顔が、本当に子供っぽくて好きです。あの場面、絶対悲劇のヒロイン的に泣き崩れても良かったはずなのに、あんなにも子供が親に怒られた時のちょっとしたコメディっぽさのある表情作りなのがとても良い。苹果ちゃんっぽいなって思います。

最後の最後のやり取りで桃果は閉じ込められた世界(空の孔分室)で成長し、様々な運命を管理してきたし、眞悧は何時だって世界を終わらせようと暗躍してきたのだろうけれど、その二人の関係性も思ったよりシリアスではないのかなぁって感覚になって。元々(テロを起こした時)は割とシリアスな関係だったから、きっと様々な運命をかけて攻防して今の関係になったのかなぁと思うと、結構相性の良いコンビなのかもしれないですよね。末長く戦ってほしい。そう、トムとジェリーみたいに。

 

個人的に、見る度に好きになってしまうのが真砂子なんです。

彼女の直向きさと不器用さ、芯のある優しさに裏打ちされた強さが本当にかっこいい。

彼女の境遇ならどこまでもワガママなお嬢様になれたはずなのにそれを良しとせず、自分の血に抗おうとしながらも間違いなくその血を継いでいて、そこに葛藤しながらも自分の大切なものをきちんと見極め、そして自己犠牲も厭わない姿勢。間違いなく双子だった。

最終的に「兄」の存在は夢物語になってしまったけれど、夏芽兄弟がしっかり揃う未来も見たかった・・・・。

 

他にも語りたいところは山ほどあるんですが止めておいて・・・。

ピングドラムって様々な人が考察を行ってくれているので楽しいなあと思うんですけど、自分の見方の浅はかさが身に沁みます。だからと言って何度も何度も見返す派でもないので、一度観た新鮮な気持ちを覚えていたいなっていう・・・・。でもきっとDVDなりBDなりでたら買うでしょうし、見てまた感動するんじゃないかなって思います。

 

ピングドラムは、大きなテロが運命を変えてしまった人々の話でした。

少し前に、現実で大きなテロに近い事件が起きてしまいました。

人間は考え、そして感情のある生き物。そして、それをお互いに伝え合うことのできる生き物でもあります。

だからこそ様々な思想や感情があり、そこで意見が分かれそして関係性が変化していきます。

自分こそが正しいと、間違っているのは世界の方だと、そう思えてしまうのは非常に恐ろしいことです。でも、きっとそれだけの絶望があって、それを分かち合える存在や助けられる環境がなかったのも事実です。

たくさんの思想があるのは良いことですが、どうかそれを押し付けず、批判しすぎず。負の因果が巡らないような、そういう世界になればいいのにって思います。綺麗事でしかないですが。

勧善懲悪にはならないだろうし、こうやって色々考えながらも歴史は繰り返し巡っていくでしょうね。

まぁでも、きっと何者かになれることを期待して、もう何者かになっているかもしれないと思いつつボケっと生きていこうと思います。

 

本当に、今再び出会えてよかった作品でした。

 

幾原監督作品でちゃんとみたのはこれと「さらざんまい」だけだったので、ユリ熊嵐も観ようかなと思います。ウテナ・・・・ウテナは・・・・どうしよう(笑)